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講座からのお知らせ

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右肺動脈大動脈起始症(ヘミトランカス)に右肺動静脈瘻を合併した極めて珍しい成人症例の手術に成功しました

新生児や乳児期に見つかることの多い「右肺動脈大動脈起始症」という病気であることが30代で発見された島根県内在住の女性。当院を紹介され、様々な検査の結果、「高度肺高血圧」に加えて、大変珍しいことに「右肺動静脈瘻」という病気を合併していました。過去に同様の報告例がなく、リスクの少ない姑息手術(右肺動脈バンディング手術)とリスクの高い修復手術(右肺動脈再建手術)の選択肢があり、複数回の院内のconferenceはもちろん、他府県の先生方にもweb conferenceなどでご意見を求め、またご家族と十分お話しした上で、リスクの高い修復手術を選択いたしました。

昨年7月末に10時間弱の手術を行い、術後約1ヶ月で無事に退院。そのあと本年2月に様々な検査を行い、1.再建された人工血管は良好に開存、2.(肺高血圧治療薬は内服し続けていますが)肺動脈圧は大幅に低下し、肺高血圧は著明に改善、3.右肺動静脈瘻も検査では検出できないレベルにまで改善しており、治癒をみなして良いと判断されました。

特に肺動静脈瘻は、先天性、すなわち生まれつきに持っていた可能性もあり、また肝臓から来た血液が右肺動脈を流れないことによって起こった後天性の可能性もありました。先天性の場合は、肺動脈再建をしても治らない可能性が高く、後天性の場合には、治る可能性があり、どのように経過するのか分からないという不安を抱えての、手術及び術後管理となりましたが、上記の通り、極めて良好な結果となりました。

世界初の成功例であり、3/7(木)に報道発表を行い、さまざまな媒体で取り上げて頂きました。我々もさまざまな可能性を考え、色んな方々と情報共有しながら、手術及び術後管理を行いましたが、勇気をもってリスクの高い手術を選んで下さった患者さんとご家族にも敬意を表したいと考えています。

今回の成功例は「島大病院ニュース」にも取り上げて頂きました。ご興味のある方はこちらをご覧ください