イラスト 心臓とメス
病気と手術について

病気と手術について

心房中隔欠損症

病態と症状

左心房と右心房の間の隔壁(心房中隔)に穴が開いた状態です。
心房中隔欠損症では、左心房から右心房へと血液が流入します。
症状は小児期には少なく、多くは思春期まで無症状であり、加齢と共に動悸、息切れなどの症状が出てきます。
(成人期になると、多くの血液量を処理してきた右心房が拡大して心房性不整脈を生じたり、右心室が拡大して三尖弁逆流症を生じたりします)
検診での心電図異常や心雑音などで気付かれることが多いです。
心エコーやカテーテル検査などで詳細な検討を行ってから、手術を行うべきか決定します。

手術治療

治療は、カテーテルによる閉鎖術と手術による閉鎖術があります。
手術による閉鎖術の場合は、人工心肺を使用して、心停止を行ってから、右心房を切開し、穴を確認します。
穴の周囲に十分な組織の余裕があれば直接穴を縫い閉じます(直接閉鎖)が、他の重要な構造物に近かったり、組織の余裕が少ない場合は、自己心膜(心臓を包んでいる袋の一部)を使用して穴を閉じます(パッチ閉鎖)。
体重10~25kg位までは、胸骨が柔らかく、創部を小さくするため、「皮膚小切開、胸骨部分切開」で行うことが出来ます。
また、創部を目立ちにくくするために、右側開胸アプローチにより手術する方法もあります(こちらは手術中に左肺を押さえ込む必要があり、「分離肺換気」という人工呼吸を行いますので、体重15~25kg位が対象です)。
右側開胸による閉鎖術は、2019年より、必要な手術器具類や体制の準備を進め、2020年7月に第1例目を行いました。引き続き、ご希望される方には、右側開胸での閉鎖術を行います。

「胸骨部分切開」と「右側開胸」による方法に関しては、それぞれに利点・欠点がありますので、手術説明の際に詳しくご説明いたします。