イラスト 心臓とメス
病気と手術について

病気と手術について

ファロー四徴症

病態と症状

フランス人医師ファロー先生により報告がなされた、4つの特徴がある疾患です。
その特徴とは、①心室中隔欠損症、②大動脈騎乗、③肺動脈狭窄、④右心室肥大です。
①心室中隔欠損は、右心室と左心室を隔てる壁の「心室中隔」に穴が空いていることです。
②本来、右心室と肺動脈、左心室と大動脈が繋がりますが、大動脈騎乗とは、大動脈が心室中隔にまたがるように、右心室と左心室の両方の出口になります。
③肺動脈狭窄とは、大動脈騎乗により右室流出路~肺動脈弁~肺動脈が狭くなることです。
④右心室肥大とは、肺動脈狭窄により狭くなった右心室の出口に血液を送るために、右心室の圧力が高くなってしまうことで、右心室の筋肉の壁が分厚くなることです。

正常より酸素の少ない血液が全身を巡るため、チアノーゼ(酸素欠乏が原因で口唇や爪が紫色になること)が生じます。
チアノーゼが生じる先天性心疾患の中では、最も頻度が高い疾患です。
肺動脈狭窄の程度や動脈管開存などにより、チアノーゼや症状の程度は様々です。
入浴時や排便時、渧泣時などにチアノーゼと呼吸困難が強くなる、「無酸素発作」が起こることがあり、注意が必要です。(右室流出路狭窄が進行し、肺血流が減少することが原因なので、ベータ遮断薬[ミケランやインデラルなど]を内服して、予防することが多いです)

肺動脈弁が狭窄ではなく、閉鎖した場合は、「極型ファロー四徴症」または「肺動脈弁閉鎖兼心室中隔欠損症」と呼ばれます。この説明は、「肺動脈弁閉鎖兼心室中隔欠損症」の項(こちらをご覧ください)に譲ります。

*チアノーゼを来す心疾患の症状

全身を巡る酸素濃度が低いため、酸素を運ぶヘモグロビン(赤血球)を増やします。これを「多血症」「赤血球増多症」と言います。
多血症はチアノーゼに対する体の順応ですが、その結果、血液がドロドロになり、血管が詰まりやすくなり、例えば脳の血管が詰まると脳梗塞になります。
また肺へ向かう血液の流れを増やそうとして、異常血管(「体肺動脈側副血行路」)を生じます。多血症と体肺動脈側副血行路により、年長児では喀血が生じることがあります。
また静脈血内に細菌が侵入してきた場合、正常心臓だと肺の毛細血管で白血球に捕まえられてしまいます。ところが、静脈血の一部が大動脈に流れているチアノーゼ疾患の場合、脳の毛細血管にたどり着き、膿を作ってしまう(脳膿瘍)ことがあります。
長期間チアノーゼのまま経過すると、「ばち指」といって、指先が太鼓やドラムを叩く「ばち」のように、丸く太くなります。

手術治療

全例が手術治療の適応です。
1歳前後または体重8-10kg前後での心内修復術を行っています。
人工心肺を使用し、心停止を行ってから手術を行います。
①心室中隔欠損パッチ閉鎖(この手術の説明は「心室中隔欠損症[傍膜様部型]」の項[こちら]に譲ります)
②右室流出路拡大が手術で行うことですが、最も術式に影響するのは、本人の肺動脈弁の大きさです。
肺動脈弁にある程度のサイズがあれば、切り開くことで、可能な限り自己肺動脈弁を温存します。それ以外に肺動脈を拡大し、また右室の異常筋束を切除します。
肺動脈弁のサイズが小さすぎる場合は、自己弁温存を諦めざるを得ません。手作り1弁付きパッチを用いて、肺動脈~右室流出路を拡大し、再建を行います。
この場合は、患者さんの成長に伴って、肺動脈弁逆流が生じてくるため、再手術が必要になることが多いです。

可能な場合は、上記のように1回で心内修復術を行いますが、A.体格が小さく、肺動脈の発育が悪かったり、チアノーゼが強かったり、またB.左心室の成長が悪い場合は、心内修復手術の前に、姑息手術が必要になります。
その場合は、肺血流増加を目的として、人工血管を用いて、体肺血流シャント手術を行います。
こちらの説明も、「肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症」の「体肺血流シャント手術」の項(こちらをご覧ください)に譲ります。